今回は趣味の部屋ということで、久しぶりに押し入れから出してきた鉄道模型のメンテナンスについて書きたいと思います。
私自身の備忘で書いていますが、このような方の参考になるかと思います。
- KATOの機関車を分解してみたいと思っている初心者の方
- はんだ付けで基板の補修をやってみたいけど、チップLEDなど表面実装のはんだ付けをしたことがない電子工作初心者の方
- チップLEDの導通チェックをどうしたらいいかとお悩みの方
逆に、Nゲージ車両の分解はお手のもの、電子工作も経験豊富という方にはあまり参考にならないかもしれませんが、読み物として参考にしていただければ幸いです。
今回の主役は「KATO 品番3057-1 EF63 1次型」
今回メンテナンスするのは、こちらの機関車「KATO 品番3057-1 EF63 1次型」です。
こちら、2006年頃?の購入ですので、もう10数年前のモデルとなりますが、現行モデル(品番3085-*)シリーズとライト基板の構造自体は変わっていますが、分解するにあたってそこまで大きな違いはありません。
で、KATOのEF63は、機関車にしては珍しく、テールライトも点灯し、消灯スイッチも装備しているため、ウエイトを兼ねたダイキャストの上にライト基板が設置され、その上にさらに消灯スイッチパーツがあるため、ボディの屋根と消灯スイッチとのクリアランスがほとんどなく、個体差はあるかもしれませんが、私が所有しているEF63のうち5両はボディが少し浮いてしまう現象が起きています。
要するに、消灯スイッチパーツとライト基板は消灯スイッチの接点金具のバネがあり、消灯スイッチが少し浮き上がってしまい、その圧力によりボディが浮き上がって、ボディとダイキャストを止めているツメが広がる(ボディが広がる)現象が起きているようです。
で、先日、久しぶりに取り出したEF63ですが、ボディの浮き上がりの原因がライト基板の反りかと思い、少し微調整をしていたんですね。
そして、再度車体を組みなおすと、、、
あれ、片方だけ、ヘッドライトつかないじゃん!ってなったわけです。
もう一度ライト基板を確認すると、手でヘッドライトのLEDチップを基板に押さえると点灯する。。。
ということは、LEDは死んでなくて、恐らく基板とLEDのはんだがクラックしているんだろうって踏んだんですね。
適当なはんだ付けは不具合のもと・・・
チップLEDなので、私のような電子工作初心者にとってはんだ付けの難易度は高いのですが、かれこれ10年前にも表面実装のパーツを修理した経験があったため、何を血迷ったのか、クラックを起こした箇所に、はんだをあたためジュッとしたんです。
ところが、、、とけたはんだがダマになって、コテについてきてLEDと基板が上手くつかないんです。
それであせって、はんだを供給しながらコテをあてがうも、どうしてもLEDと基板にはんだがなじまない。。。
で、結局温めすぎて、チップLEDそのものがどうやらダメになってしまったようです。
そもそも、チップLEDは熱に弱く、加熱時間も1秒程度のようですね。
適当にやろうとして、せっかく生きていたチップLEDをダメにしてしまったようです。
ASSYパーツを探してみる
KATO、TOMIX、マイクロエース、グリーンマックスといったNゲージメーカーには、補修用パーツが設定されているものがあります。
KATOではASSYパーツとって、それぞれの製品に設定されているのでASSYがないかを探してみました。
そもそもこのモデル自体がかなり前の製品ですので、現行のEF63のライト基板ASSYは3057-3Gとなっています。
私のモデルは3057-1Gとなっており、KATOのパワーパックハイパーD対応前のものになっていました。
私自身はハイパーDを持っていませんし、できれば購入時のパーツで修復したいので3057-1Gが手に入ればいいかと思ったんですが、そもそも市場に現行の3057-3Gすらない状況。ただ、奇跡的に3057-1Gの在庫があるお店を見つけ、取り寄せることに成功しました!
それがこちらのパーツです!
で、普通であれば、取り寄せたパーツに付け替えれば終わりなんですが、自力でLED交換ができなかったのがどうも釈然としない。
だって、ライト基板についてる4つのLED(ヘッドライト2つ、テールライト2つ)のうち、壊れたの1つだけですし、基板も生きてるもんだから、自分でLEDを取り寄せてリベンジできないか?と画策したくなったんです。
LEDパーツを探してみる
ということで、チップLEDでこのモデルの基板と同じカマボコ型サイドビューチップLED(※)を探してみました。
(※)サイドビュー:LEDの表面が発光するのではなく側面が発光するタイプのLED、カマボコ型:単純にカマボコのような形をしているからそう書いています。
もう10年以上も前の製品に採用されていたLEDです。
最近のLEDの進化もすごく、現行モデルのEF63に採用されているチップLEDはより高輝度になっています。
なので、同じ形(カマボコ型)のチップLEDはもうないか、あってもより高輝度になっていて同じものはないんじゃないかと思っていました。
(普通は、旧モデルのLEDをより高輝度のものに付け替える方のほうが多いかと思いますが。。。)
で、ネットを彷徨うこと数日、同じ形状のチップLEDを発見したんです!
輝度の規格が2種類あったので、物は試し、2種類注文してみました。
お世話になったサイトは「マルツオンライン」さんのサイト。実際に届いたチップLEDがこちらです。
今回届いたチップは、スタンレー電気の「AY1101F」と「FY1101F」の2種類です。
どちらも形は同じですが、仕様上、輝度がAY<FYとなっていました。
KATOの基板についているチップLEDと輝度ひ比較したところ、AYは輝度が微妙に足りず、FYがしっくりきましたので、今回はFY1101Fを使うことにします。
LEDチェッカーで届いたチップLEDをチェックする
私テスターを持っているのですが、そのテスターではLEDの導通チェックができません。
さらに、レールから直接LEDに給電した場合、電圧に耐えられずにLEDが即死することもあるようです。
そんな時に便利なのが、こちらのLEDチェッカー。
この道具は、LEDをピンセットで掴む要領でLEDの導通チェックを行うことがでるという、とっても便利なアイテムです。
もし、LEDの導通チェックをどうしたらいいか?とお悩みの方は、お手元にそろえてみてはいかがでしょうか?
実際使ってみると、ピンセット感覚でLEDの導通をチェックできるので、めちゃくちゃ便利ですね。ほんと、オススメです!
LED導通チェッカーを使うには、ボタン電池CR1632が2個必要です。
もちろんネットでも注文できますがそれなりの値段がしますね。百均でも売ってますのでお近くに店舗がある方はそちらがおすすめです。
注文したチップLEDで基板を復活させる
では、いよいよチップLEDを基板に着ける作業をします。
私が使っているはんだごては、10年以上前に購入した「HAKKO DASH」ですが、これでも十分作業できますので、既にお持ちの方はお手元のはんだごてを使ってみましょう。
もし、はんだごてがボロボロで新調される場合や、これからはんだごてを購入される方は、温度調整機能付きのはんだごてがオススメです!
それと、今回のチップLEDのように、表面実装パーツのはんだ付けには、なるべく細身のはんだ線を使うといいですよ。
細かい作業になりますから、老眼には応えますけど。。。
こちらが先日はんだづけを失敗し、もともとのチップLEDを焼いてしまった基板です。汚れていますね。。。
まず、基板に残っている古いはんだを、はんだ吸い取り線を使って綺麗に除去します。
そして、無水アルコールを使い、基板のよごれを除去します。
はんだ吸い取り線と無水アルコールを持ってない方は、是非お手元にそろえておきましょう。
基本をすっぽかすと、はんだの乗りが悪く、はんだ付けが失敗する可能性が高くなります、私のように・・・
綺麗になった基板がコチラ
それでは、はんだ付けの下準備です。
LEDをはんだ付けする予定の基板に、はんだが乗りやすくするためにフラックスを塗布します。
そして、チップLEDの電極を載せるランドの片方に、予備はんだをちょっぴり付けます。
それがコチラ(わかりにくいですが・・・)
で、この状態から、チップLEDを基板の正しい位置にピンセットで持ってきて、チップLEDをピンセットで基板に押し付けるような形で保持します。
このとき、電極の向きが正しくセットされているかを確認しましょう。(はんだ付けの後で気づくと再はんだが必要で大変ですので。。。)
チップLEDをはんだ付けするコツは、まず、片側をはんだ付けし、その後でもう片方をはんだ付けすることです。
予備はんだが盛られたほうのランドに、十分加熱したはんだごてをあて、予備はんだを溶かし、チップLEDの電極の片側とランドを固定します。
これで、基板にチップLEDが固定されました。
次に、もう片方の電極へのはんだ付けです。糸はんだとはんだごてをそっとあてがい、素早くはんだ付けします。
はんだごてのこて先はすぐに汚れるため、こて先クリーナー(水にぬらしたスポンジ)でこまめに洗浄しましょう。
コンパクトなこて先クリーナーならこちら。
こて台にもなるのでこれ1台あればOKです。
何事も形から…という方は、本学的なこちらのこて台(画像左)もオススメです。
最後に、予備はんだで仮止めしていたほうの電極に糸はんだとはんだごてをサッとあてがい、素早くはんだ付けします。
これで、出来上がりです。
上手くはんだ付けされていれば、LEDチェッカーを基板につけると、チップLEDが点灯してくれるはずです。
おっ、うまく行ったようです。よかった~。
うまく行ったら、フラックス洗浄液(フラックスリムーバー)でフラックスを除去しておきましょう。
まとめ:何事も基本に立ち返り丁寧にしましょう
今回は、私の失敗談からの学びをまとめにしたいと思います。
基礎を復習することなく、ササっとはんだ付けしようとして、もともとのLEDを焼いてしまった私。
やはり、何事も基礎を確認してから作業をすることが大事ですね。
- 表面実装パーツのはんだ付けは、うまく行かないからとずっと熱し続けないこと!はんだごてで熱するのは数秒程度でササっとする。
- そもそも、はんだ付けする基盤を綺麗に洗浄しておくこと。はんだカスははんだ吸い取り線で吸い取り、無水アルコールで洗浄する。
- はんだ付けの前に、基板にフラックスを塗布し、はんだの乗りをよくしておく。
- はんだごてのコテ先は常に綺麗にしておく。こまめに湿らせたスポンジで洗浄することを忘れない。
- 表面実装パーツの取り付けは、片方の電極に対応するランドに予備はんだをする。そして、表面実装パーツをあてがい、予備はんだを使ってパーツを固定する。
- 反対側の電極にはんだ付けをし、最初に固定した予備はんだの方も綺麗にはんだ付けする。
- フラックス洗浄液で基板を綺麗にしておく。
ということで、遊びも仕事も基礎を大切にして楽しみましょう!
ここまでお読みくださりありがとうございました。